都電荒川線(王子駅前~大塚駅前)
王子電気軌道の飛鳥山上(現:飛鳥山)~大塚間の軌道事業は、ほぼ102年前の明治44年(1911)8月20日に開業した。 今日の散歩は、この区間を歩いてみた。 1万歩、7km。
①王子駅前停留場・・・・・・・・・・・・荒川線の停留場は新幹線高架下である。 王子駅の開業は日本鉄道の駅として明治16年(1883)である。その王子駅に王子電気軌道(現:都電荒川線)の停留場が設置されたのは大正4年(1915)。・・・・・・・もちろん開業時には新幹線の高架橋はないので、駅に隣り合うのんびりとした停留場の雰囲気が漂っていたであろう。・・・・・・・・・・停留場を出ると、すぐにJRのガードをくぐり、飛鳥山を回って上る。
・・・・・・・・・・・・・全線均一の160円の運賃は格安だ! 親子で終点まで往復してもワンコインで足りるので、夏の暑いときは子供と納涼電車もいいね。
・・・・・・・・・・・・・飛鳥大坂・・・・・・・・・・・王子駅から飛鳥山を左手に見て、グルリと回る大きな坂道が飛鳥大坂(あすかおおさか)である。・・・・・・・坂名を、飛鳥大“阪”と書くと、関西の地名と間違える。・・・・・・・・“飛鳥坂”と書くと、水森かおりが歌う、西島三重子:作曲のチョイト演歌調の ♪♪ 今年もきれいに咲いたよね それきりあなたは 何も言わなくなる 都電が走る この街が ふたりはとても 好きだったのに この坂道を のぼる途中で ふりむく私を 黙ってみつめてた これきりで お別れですか 四年の月日が もうすぐ終わるというのに ああ 舞い上がる花びらのむこうに 夢が 夢が続いている 飛鳥坂 ♪♪
・・・・・・・・・・・・・清水質店・・・・・・・・・・飛鳥大坂に面して建つ、歴史のありそうな建物。
・・・・・・・・・・・・飛鳥大坂を上った交差点で、都電は一般道から専用軌道へ入る。
・・・・・・・・・・・・・・酒類総合研究所・・・・・・・・・・清水質店の裏側に残る、赤煉瓦の3階建て酒造工場は明治35年(1902)に竣工。設計は横浜赤レンガ倉庫、日本勧業銀行本店(現:千葉トヨペット本社)、日本橋を手がけた妻木頼黄(つまきよりなか)。・・・・・・・・・明治37年(1904)大蔵省醸造試験所が、この地に設置された。醸造試験所は平成7年(1995)に「国税庁醸造研究所」(現:独立行政法人酒類総合研究所)となり、平成13年(2001)には近代的な研究所を東広島市に建設し、移転した。移転後は一部公園となっているが、赤煉瓦の工場は酒類総合研究所の東京事務所の管理となっている。
・・・・・・・・・・・・・・創立当初の醸造試験所(酒類総合研究所広報誌「NRIB」より)・・・・・・・周囲は畑で、まさに“滝野川村”か?
②飛鳥山停留場・・・・・・・・・・・・飛鳥山交差点から専用軌道に入ったところに停留場はある。 当停留場から大塚駅前停留場までは、王子電気軌道が明治44年(1911)に開業した。 昭和17年(1942)には、王子電気軌道を東京市が買収し、市電となる。
③滝野川一丁目停留場・・・・・・・・・・・寂しい停留場に、塾帰りらしき学生が一人、スマホのゲームに集中していた。 ますます寂しくなるね!
・・・・・・・・・・・・・踏切の先には上弦の月。
・・・・・・・・・・・・・畳屋の親爺!・・・・・・・・明日の仕事の準備中、きっと、いい仕事するね!
④西ヶ原四丁目停留場・・・・・・・・・・・誰も降りず、誰も乗らず、それでも電車は止まる!
⑤新庚申塚停留場・・・・・・・・・・・・・お隣の庚申塚停留場と同時(明治44年)に開業したが、何故か停留場名に“新”を冠している。・・・・・・・・・・道路幅の広い白山通りを挟みホームが対峙している。
⑥庚申塚停留場 ・・・・・・・・・・・・・巣鴨庚申塚は江戸時代中山道の立場(休憩所)として栄えた処。・・・・・・・・・・現代版の立場として、停留場のホーム続きで、甘味処と呑み屋がある! 甘味処はすでに閉店、呑み屋は営業中だった。
・・・・・・・・・・・・・猿田彦大神庚申堂・・・・・・・・・停留場名となった庚申堂。現在は庚申堂に猿田彦大神を合祀している。 猿田彦大神は日本神話に登場する神で、天孫降臨の際に道案内をしたということから、道の神、旅人の神とされている。
・・・・・・・・・・・・旧中仙道(現:地蔵通り)の踏切
⑦巣鴨新田停留場 ・・・・・・・・・・・・池袋・大塚の町が近いのに、停留場は場末か?
・・・・・・・・・・・・・このあたり、都会の中の郊外といった雰囲気、踏切は絵になるね!
・・・・・・・・・・・・・・停留場脇の塔のあるところ(現:東京電力大塚支社)には、王子電気軌道の本社が大正12年(1923)に京橋区より移転し、昭和17年(1942)に東京市に合併されるまで置かれた。また変電所もあったそうだ。
⑧大塚駅前停留場・・・・・・・・・・・・JR高架下に停留場が設けられている。 明治44年(1911)、王子電気軌道大塚駅(現:大塚駅前停留場)として開業し、昭和17年(1942)に市電の停留場となる。・・・・・・・・・・昭和46年(1971)までは、チョイト長い距離だが大塚駅前~錦糸町間の都電(16系統)も走っていた。
●・・・・・・・・・・・・・・・都電荒川線の前後は・・・・・・【三ノ輪橋~熊野前】、【熊野前~王子駅前】、【大塚駅前~早稲田】
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