菊の御紋は奉免町
三日前の散歩にて、迎米庚申塚で地元の方に聞いた話では、『武蔵野線沿いに「奉免町」という、昔年貢を免じられた町があり、そこには日蓮宗最初の尼寺がある。 行ってみるといいですよ!』とのこと。 “尼寺”につられ、今日の散歩は奉免町の町歩きとした。 JR本八幡駅からバスで往復し、9千歩の散歩。
● 奉免町なんて知らん御免・・・・・・・ 奉免町(ほうめんまち)は市川市北部に位置する、人口1,550人程の町。 畑も残されている住宅地。

● 地名の由来は・・・・・・・・ 昔、昔のその昔、鎌倉時代のことである。 東京湾の海岸線は、今の総武線よりも、もっと内陸に入り込んでいた。 そこに、美しい着物を着た二人の女性が流れ着いた。 一人は若い娘、もう一人は乳母の女性。 (私の想像では、二十歳ぐらいの色白の娘と、三十歳過ぎの年増の美女) 若い娘は薄い布で顔を隠していたが、その美しい黒髪から身分の高い女性だと、人々は思ったそうだ。 その後、二人はこの地に住み着いたが、村人は気になる(不審な)美女なので、役人に知らせた。 そこで、鎌倉幕府の役人が調べてみたところ、ビックリ、シャックリ止まらない。 その娘は、ナント、後深草天皇の皇女常盤井宮(ときわいのみや)内親王であった。 常盤井姫は難病を患い、美しい顔にひどいできものができてしまい、それを苦に、京の都の宮中から乳母と共にひっそりと姿を消したのだ。 そして小舟に乗り、流れ、流され、下総のこの地に着いたのである。 幕府の役人は村人に、常盤井姫を援助するよう命じ、その代わりに年貢の奉納を免除した。 つまり、村は「奉免」されたのである。、、、、、こののち常盤井姫は若宮の中山法華経寺奥の院にて日蓮の説教に接した。 日蓮は姫に病気治癒の妙符を渡し、その霊験は高く、常盤井姫の病は日毎に良くなり、元の美しい姿に戻った。 その後、常盤井姫は仏の加護を感謝し、美しい黒髪を剃り、日国と名乗り、奉免の地に寺を建てた、これが日蓮宗で最初の尼寺、奉免山安楽寺である。 皇室ゆかりの寺として、安楽寺の寺紋は菊の御紋である。、、、、、以上、常盤井姫伝説である。
● アレ? 団地がない!・・・・・・・・ 我が家から奉免町へ行くには、JR総武線本八幡駅で下車し、町の北側京成バス「姫宮団地入口」バス停で降りた。 バス停の“姫宮”は常盤井姫のことと推察し、団地が見たくバスを降りた若い主婦に『姫宮団地ってどの建物ですか?』と聞くが、『そんな団地はありませんよ、バス停前はパークハイツで、後ろはグリーンハイツです』と、つれない返事。 幻の“姫宮団地”か?


・・・・・・・・・・ どうやら、姫宮団地というものはないようだ、たぶんこの高層集合住宅群を総称して、バス会社の誰かさんが「姫宮団地」と命名したのだろう。 勝手に、自分に言い聞かせた。、、、、大柏川を渡り、奉免町に入る。 武蔵野線が見える! 芋堀り遠足に来たようだ。 “姫宮団地”(?)からだいぶ遠ざかったな。




・・・・・・・・・・ 奉免町の北端、武蔵野線沿いに住宅が並んでいる。 その中に「都美人 ひめみや食堂」の文字が見える。 アレ!、また幻の“姫宮”か? しかも“都美人”だって!


・・・・・・・・・・ 食堂の前まで行くと、玄関先に「ひめみや団地自治会」の札が下げられていた。

・・・・・・・・・・ 集合住宅が並ぶ団地をイメージした私が馬鹿だった。 姫宮団地は、バス停からチョイト離れた、安楽寺近くの戸建て住宅の団地だった。、、、、建ち並ぶ家を見ると、昭和50年前後に分譲された団地のように見える。


● キツイ、ツライ、70段・・・・・・・・ ひめみや団地の脇、小高い丘の上に安楽寺の鎮守社であったと思われる「神明社」がある。 約70段ほどの急な参道階段は、年寄りにはキツイ! 祭神は天照皇大神だが、由緒は不詳。



・・・・・・・・・・ 社殿裏から眺めると、眼下に「ひめみや団地」の住宅が見える。 身体を反転すると、遠く本八幡駅前のタワーマンションも見える。


● 菊の御紋が目に入らぬか、頭が高い!・・・・・・・・ 静かな住宅地の中にある、奉免山安楽寺は常盤井姫ゆかりの日蓮宗最初の尼寺。 小さなかわいらしい本堂がなんとなく尼寺らしい雰囲気を匂わせる。、、、、、姫の姿を追って、キョロキョロ、境内を見渡すが誰も見えず。


・・・・・・・・・・ 本堂正面のガラス戸には、花びら16枚の菊の御紋が見える。 本堂天井にも菊の御紋が!、、、、、“菊の御紋”使っていいのかな?


● 観光ガイドはいません!・・・・・・・ 安楽寺、神明社を見たので、もう少し奉免町の名所巡りをしてみよう。
・・・・・・・・・・ まずは、地域のコミュニティーを大切に、皆さんが集う「奉免公民館」。 玄関を入ると、スグに大宴会場。

・・・・・・・・・・ 公民館の脇には、奉免町のスカイツリー、KDDIの鉄塔が立っている。 展望台はないようだ!


・・・・・・・・・・ こちらは、奉免町のベッドタウン「市営奉免団地」 昭和55年(1980)に建てられた、3DK、5棟(100戸)の市営団地。 家賃お安くしてます。



・・・・・・・・・・ 奉免町の中央を縦断する、高速道並みに信号機のない、町の幹線道路。 飛び出しに要注意!


● お帰りはコチラ・・・・・・・・ 再び大柏川を渡り「市川東高校入口」バス停に出る。、、、本日の散歩では、残念ながら尼僧に会うことはなかった。

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