新田橋
北区王子と足立区新田を結び、隅田川に架かる新田橋(しんでんばし)は、幹線道路の橋ではなく、2車線の狭いバス通りに架かる地元の人のみぞ知る橋である。 古い木橋のようなデザインの橋で、私の好きな橋の一つでもある。 この橋が架け替えられると聞いて、チョイト見に行ってきた。 京浜東北線の王子駅から歩きはじめ、新田橋を渡り、新田一丁目のバス停まで、1万2千歩の散歩です。
● 今日は昼の時間帯にJR京浜東北線の王子駅で下車する。 王子駅から、旧大蔵省印刷局今は国立印刷局の前の都道を北東に向かって歩く。 溝田橋交差点で明治通りを横断する。
● 溝田橋交差点を過ぎ、石神井川の縁「あすか緑地」際に、庚申塔の小堂が立っている。 中に彫りの深い文字で「庚申塔」が見える。 残念だが、この右側面に造立年が刻まれていたようだが、欠損のため造立年は不明である。
・・・・・・・・・・ 新田橋に向かうため、豊島二丁目バス停の先で裏通りに入ると、丁重に祀られた庚申塔がある(北区豊島2-5)。 堂には、今年「令和六年」の庚申日が表示され、庚申信仰が続いているようだ。、、、、堂の中には、左から造立不明の馬頭観音塔、昭和5年(1930)の青面金剛庚申塔、寛文4年(1669)の板碑型庚申塔が納められている。
● 北区豊島1丁目から、地元の住民しか知らない愛称がついた一方通行の「王子郵便局通り」を歩き、郵便局の横を通り過ぎると「紀州通り」と呼ばれるバス通りに出た。
● 王子郵便局通りから紀州通りに出る角、スーパーの一画に「白龍神社」なる新しい小さな社がある。、、、、白龍神社は、白羊鉛筆の創業者小林直喜の父が、滋賀県から北海道へ移る際に、屋敷神として祀っていたものを持参して祀り続けてきた社で、昭和25年(1950)白羊鉛筆を設立すると、会社の敷地中央に祀ったとそうだ。 平成5年(1993)白羊鉛筆を閉じてベネフォームへ移行する際に社を現在地に遷し、外部に開放した。 御神徳一位の木は別名アララギとも呼ばれ古くから笏(しゃく)の材料として用いられ、鉛筆の素材でもあった。 家業の励みに日夜一位の神に感謝し、一位の自生する深山の御恩を仰いだ。、、、、玉垣には鉛筆に関連する会社名が並んでいる。(私が知ってる、コーリン鉛筆、キリン鉛筆が無いぞ!)
● 紀州通りに面し、道路名の謂れとなった「紀州神社」の旗がなびいてる。、、、、紀州神社の祭神は現在、五十猛命、大屋津姫命、柧津姫命である。 元亨年中(1321~1324)、紀州熊野の鈴木重尚が王子村にきて、豊島氏(豊島景村)とはかり、紀州五十太祗神社を同村に勧請したのに始まり、天正年中(1573-92)豊島村と王子村との間に争論が起こった際、豊島村の産土神を王子村に置くのは本意ではないと小名宮ノ前に移し、更に小名馬場に移し、後に現在地に移したものといわれてる。、、、、今年は創建700年、盛大に祭りが行われるのかな?
● 紀州通りから「新田橋通り」と言う、こちらも地元の人しか知らないような細い通りを北へ歩くと、「新田橋(しんでんばし)」がある。
・・・・・・・・・・ 新田橋は、右岸(南岸)の北区豊島8丁目と、左岸(北岸)の足立区新田3丁目を結び、隅田川に架かる鋼道路橋である。 橋長114.0m、幅9.0mの5径間単純鋼桁橋で、昭和36年(1961)3月に竣工した。、、、、この地にはもともと「野新田(やしんでん)の渡し」という農業渡船があり、荒川放水路(現:荒川)開削に伴って中州状に孤立した付近の交通路として利用されていた。 昭和14年(1939)に最初の木橋が木造下路ハウトラス橋として架けられた後、トラス部分の改装を経て昭和36年に現在の橋に架け替えられた。珍しいA字型をした橋脚は、木橋時代の橋脚を模したものである。 都心にあってこのデザインは何とも言えず好きだ! 架け替え前によく見ておこうと思い、今日、わざわざやって来たのだ! だが、上流側には仮設の歩道橋が架かり、下流側の両岸は高い護岸が構築されており、橋脚がよく見えない!(今日は、下流側の隙間から覗くように橋脚を見て来た)
・・・・・・・・・・ ところで、新田橋の架け替え工事は、橋の老朽化や構造上の問題から「架替の必要性あり」判定され、架替に向け事業が進められている。 平成29~30年度には地元説明会が開催され、令和元年に新田橋仮橋架設工事に着手し現在に至ってる。 今後は、令和6~8年度に仮橋へのライフラインの移設工事を行い、令和9年度から架替工事を進め、概ね10年後の完成を目指す。 なんと完成まで、まだまだあと15年程を要するそうだ!(完成時には、俺、死んでる!)
● 新田橋を渡り足立区に入った、新田の町を歩き、町の北はずれ「新田一丁目」バス停を目指す。
● 新田一丁目バス停の前に「新田稲荷神社」がある。 このバス停は王子駅・池袋駅から来る都営バスの終点である。 バスはここで折り返す。 バスを待つ間、チョイト神社に二礼二拍手一礼する。、、、、新田稲荷神社の創建は元禄10年(1697)と伝えられる。 社殿は戦災により、一度焼失するも、昭和22年(1947)に再建され、現在に至る。 境内に2基の庚申塔がある。、、、、夏の暑さで緑一面となった境内は絵になるね!
・・・・・・・・・・ 折り返し王子駅行きのバスが来た。 乗って帰ろう!