滋賀県

2024年3月15日 (金)

近江商人の町(2)

近江旅行の2日目は、近江八幡駅前のホテルを出て、午前中に五個荘(ごかしょう)の街並みを歩き、午後は再び近江八幡に戻り近江八幡市内の散策、夕方にJRで京都に出て新幹線にて帰京。 チョイト厳しい行程だった。




● 朝9時、通勤通学客が利用する近江鉄道五個荘駅に降り立つ。 駅はもちろん無人駅。 運転手さんが改札係を兼務。 駅前には、コンビニ、喫茶店、パチンコ屋など一切なし! あるのは、町の中心に向かう道路と民家。 

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・・・・・・・・・・ 五個荘の街並みに向かう途中、旧中山道(こんなところに中山道(?)東海道ではありません)に面して「旧五個荘郵便局」(国登録有形文化財)の建物がある。 大正14年(1925)に建てられた幾何学的デザインの郵便局は、昭和39年(1964)まで使用された。 

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● 駅から徒歩30分程で「五個荘金堂の街並み」(重要伝統的建造物群保存地区)がある。(注:“五個荘金堂”とは地名である)、、、、五個荘金堂地区は、近代日本経済の基礎を築いた近江商人の発祥地として広く全国に知られ、現在も商人たちの本宅と伝統的な農家住宅が調和のとれた美しい町並みをつくり出している。 五個荘金堂地区の歴史は古く、奈良時代に寺院が建てられている。 江戸時代には、大和郡山藩の金堂陣屋を中心に古代の条里制地割に沿って、弘誓寺や勝徳寺・浄栄寺などが町の周囲に配置され、集落が形成された。 五個荘金堂地区の近江商人は、主に江戸時代後期から明治・大正・昭和戦前期にかけて、呉服や綿・絹製品を中心に、革新的商法によって商圏を全国に広げた。

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● 五個荘金堂の近江商人屋敷「外村繁邸」、「中江準五郎邸」、「藤井彦四郎邸」も拝見。

・・・・・・・・・・ 外村繁邸、、、、外村繁は、昭和10年「草筏」が芥川賞候補、昭和13年池谷賞を受賞、昭和31年(1956)「筏」が野間文学賞を受賞した滋賀を代表する作家。 外村宇兵衛家の分家として江戸時代末期に建てられた屋敷で、総面積2395平方メートル・建物面積496平方メートルもあり、門を入ると川の水を取り入れた川戸と呼ばれる水屋があり、玄関に続く石畳の右手には広い庭がある。

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・・・・・・・・・・ 中江準五郎邸、、、、中江準五郎は、大正時代から戦前まで朝鮮半島で次々に百貨店を開設し『百貨店王』と呼ばれた三中井一族の末弟中です。 屋敷は切妻瓦葺で、蔵が2棟あり、庭は池泉回遊式で池のまわりには石灯籠や巨石を配しています。 蔵には、滋賀県唯一の郷土民芸品「小幡人形」が常設展示されています。

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・・・・・・・・・・ 藤井彦四郎邸、、、、五個荘町大字宮荘の出身で、「スキー毛糸」で知られる豪商、藤井彦四郎(1876~1956)の生家でもある旧宅。 現在は資料館として、総面積8155.3m2の中に屋敷・土蔵・展示館があり、現在の日本経済の礎を築いたといわれる近江商人の暮らしぶりはもとより、歴史や商法などがわかりやすく展示されている。 この旧宅は、住居というより迎賓館的に建てられたらしい。

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五個荘駅に戻り再び近江鉄道で近江八幡駅に向かう。 JRの近江八幡駅(近江鉄道の駅舎はホームの上)は立派!

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● 近江八幡市内は建築家ヴォーリズ夫婦が住んだ地で、町の随所に彼の作品が残されている。

・・・・・・・・・・ ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(William Merrell Vories、日本名:一柳米来留〈ひとつやなぎ めれる〉、1880/10/28~1946/5/7)は、米国に生まれ、日本で数多くの西洋建築を手懸けた建築家、社会事業家、キリスト教信徒伝道者。、、、、明治38年(1905)、滋賀県立商業学校に英語教師として八幡町(現:近江八幡市)に着任。 宗教活動が問題となり学校を去る。 その後、関西を中心に建築家や事業家として活動を広げた。 明治41年(1908)、京都で建築設計監督事務所を設立し、日本各地で西洋建築の設計を数多く手懸けた。学校、教会、YMCA、病院、百貨店、住宅など、その種類も様式も多彩である。 大正2年(1913)には、病気療養のため米国へ帰国し、メンソレータムの創業者:ハイドと再会し、日本でのメンソレータム販売代理店となる。 ヴォーリズ合名会社(のちの近江兄弟社)の創立者となる。



・・・・・・・・・・ 急ぎ足で回ったヴォーリズ建築  写真の順に、日本基督教団近江金田教会(1950)、吉田悦蔵邸(1913)、ウォーターハウス記念館(?)、ハイド記念館(1931)、ヴォーリズ記念館(ヴォーリズの居宅)、旧八幡郵便(1921)、アンドリュース記念館(1907)、旧近江兄弟社 地塩寮(1940)、日本基督教団 近江八幡教会(ヴォーリズが建てた最初の教会の跡地)

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・・・・・・・・・・ メンソレータムの本家:近江兄弟社本社1階ロビーを「メンターム資料館」として開放し、創業者であるウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏の歩んだ足跡を写真パネル展示している。 チョイトお立ち寄り。、、、、メンタームはその昔「メンソレータム」と呼んでいたが、現在はロート製薬の商標となっている。、、、、本社建物の向かいにはヴォーリズの像もある(鼻筋とおったいい男だ!)

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● ヴォーリズの建築を堪能し、もう一つ近江八幡の古い街並みも拝見。、、、、近江八幡市は、豊臣秀次が築いた城下町を基礎として、近世は商業都市として発展した。いわゆる近江商人の発祥の地である。  近世の風情がよく残る新町通り、永原町通り、八幡堀沿いの町並みおよび日牟禮八幡宮境内地は「近江八幡市八幡伝統的建造物群保存地区」の名称で国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されており、時代劇の撮影場所としてもよく使われる。、、、、見何処の多い町で時間が足りない、また来よう!

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● JR近江八幡駅から京都に行き、新幹線で東京へ、、、、チョイト疲れた!!

2024年3月14日 (木)

近江商人の町(1)

14日、15日と滋賀県の近江の町を夫婦で歩いてきた。 米原から、近江鉄道を利用し、彦根、多賀大社、豊郷(とよさと)、五個荘(ごかしょう)、近江八幡の順に沿線の街歩きです。




近江鉄道は、明治29年(1896)6月16日に設立された滋賀県下で最古の私鉄である。 会社は近隣の鉄道会社やバス会社などと何度か合併を行ったが、親会社は変わっても、社名は設立時から一切変わることもなく今日まで続いている。 昭和18年(1943)には、箱根土地(現在の西武グループ)の経営傘下となり、鉄道、バス、観光などの事業を手掛けている。、、、、鉄道の現有路線は、本線:米原駅~高宮駅~八日市駅~貴生川駅 47.7 km、多賀線:高宮駅~多賀大社前駅 2.5 km、八日市線:近江八幡駅~八日市駅 9.3 kmの3路線。 全線電化され、2両編成のワンマン運転で運行している。、、、、主要駅である近江八幡駅や八日市駅でも1日の乗車人員は2008年度でそれぞれ2,000人チョイで、3,000人にも満たない。 米原駅~彦根駅~近江八幡駅にはJR西日本の東海道本線も運行しており、JRには大きく水を開けられ、鉄道営業は赤字となってる。 そのため、沿線自治体が財政支援している。 2019年には、近江鉄道の鉄道事業赤字問題で、鉄道の存廃について検討している滋賀県と沿線5市5町の会合が開催されたが、2020年に全線の存続が決定した。 2024年度(今年度)の上下分離方式への移行を目指している。 運行は近江鉄道が引き続き担い、施設は県と沿線10市町で構成される一般社団法人近江鉄道線管理機構が保有・管理する見通しとなっている。、、、、私も近江鉄道を応援する気持ちで、14日は電車、バス一日乗り放題の『お〜み満喫パス 』。 15日は電車一日乗り放題の『1デイ・スマイルチケット 』を購入して沿線の街歩きをしてきた。(運賃の元は取れたと思う)

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・・・・・・・・・・ 米原駅で新幹線から近江鉄道に乗換える。 近江鉄道の駅舎・ホームは在来線の隣りに小さく寄り添ってる。 乗車する客は私達夫婦を含めて10人程、『コリャ、赤字になるわ!』

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● 米原から近江鉄道で3駅目、彦根駅で下車。 彦根駅から徒歩15分、彦根城の入口にある滋賀県護国神社で旅の安全祈願。

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● 井伊直継により元和8年(1622)に完成した彦根城は、江戸時代以前からの天守が現存している12城の一つで、全国に5つしかない国宝の城の一つである。平野の中にある山に築城された「平山城」であり、石垣や堀・櫓など当時の遺構が多く残る貴重な城。 多くの大老を輩出した譜代大名 井伊氏の居城である。、、、、山頂に向かい長い急な石段を上り天守に到着。 しかし運悪く、訪れた日は天守の耐震対策工事中で、内部の見学はダメ、残念なり。

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・・・・・・・・・・ 天守の下には、江戸時代前期に作庭された大きな池泉回遊式庭園の「玄宮楽々園」がある。 このでっかい庭園、スゴイね井伊家!

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多賀大社前駅前大鳥居をくぐり、古い家並みが迎えてくれる参道を20分程歩いて多賀大社へ向かう。 参道の家々には、笑顔の絶えない明るく幸せな家庭を願う、『笑門』と書いた笑門絵馬が玄関に飾られている。(家々に飾られた絵馬が街並みのワンポイントとなってる)

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多賀大社は、御祭神に伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)、伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)を祀る、旧社格が官幣大社の神社本庁の別表神社。 古くから「お多賀さん」の名で親しまれる滋賀県第一の大社です。 日本最古の書物「古事記」によると、この二柱の大神は神代の昔に、初めて夫婦の道を始められ、日本の国土、続いて天照大神をはじめとする八百万(やおよろず)の神々を誕生させた。 生命(いのち)の神様であることから、古く「延命長寿・縁結び・厄除け」の神様として信仰を集め、鎌倉時代から江戸時代にかけては、武家や民衆にも信仰が広まり、多賀大社の分祀社は全国239社を数えるそうだ。、、、、私たち夫婦は延命長寿を願い、縁結びの願いはパス!

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・・・・・・・・・・門前の茶屋では糸切餅という、こし餡を餅で巻いて、その表面に青・赤・青の3本の縞模様を描いた菓子も売ってる。 一口でいただいた、美味い!

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● 14日も夕方になり、急ぎ豊郷町の見学だ。 まずは、豊郷駅の北にある「豊郷小学校」を見てきた。、、、、豊郷小学校は、明治6年(1873)に近隣7ヶ村により設立された「成文学校」を引き継ぐ形で明治22年(1889)に設立された。 明治20年(1887)には当地出身の豪商・薩摩治兵衛などの地元有力者から寄付を得て校舎の新築(初代校舎)がなった。 昭和12年(1937)には丸紅の専務取締役であった古川鉄次郎が学校の新築費用の寄付を申し出、2代目校舎が建築された。 2代目校舎は、設計:ヴォーリズ建築事務所、施工:竹中工務店による、白亜の壮麗な鉄筋コンクリート造校舎である。 校舎のシンボルとして階段手すりにウサギとカメの像が設置されてる。 初代、2代目の両校舎とも国登録有形文化財である。、、、、平成の世になると、この校舎を取り壊して新しい校舎を建てる話が出て、一躍有名になった。(結果は保存することになった)、、、、私たちが訪れた日は耐震対策工事がおこなわれてた。 またまた残念であったが、2代目校舎の内部は見ることができた。

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● 豊郷駅の西側にある「伊藤忠兵衛記念館」を見に行く。、、、、その名の如く、商社:伊藤忠商事丸紅も同じ)の創業者の家である。 伊藤忠商事&丸紅の創始者、初代伊藤忠兵衛の旧邸、二代忠兵衛の生家を豊郷本家として当時のまま保存し、貴重な様々な資料が残されている。 屋敷内には蔵が二棟、茶室もある近江商人の大きな屋敷である。 “伊藤”と丸紅のマークを染抜いた染物が印象に残る。、、、、伊藤忠商事と丸紅のルーツが同じだったとは知らなんだ!

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● 今日はココまで、暗くならないうちに、近江八幡の予約したホテルへ向かう。 豊郷駅から近江鉄道で近江八幡駅へ。

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